【魔界の魚 黒鯛  野島堤防偏.PertW】


 悪魔が作った落とし穴『馬ノ瀬』

 『馬ノ瀬』は下げ潮での釣果が良いので、干潮の時間を考慮し新提から渡る。
 この堤防、満潮時には水没してしまうので危険ではあるが、安全に渡るパターンを覚えれば流されることはない。

 とは言え、何名かの釣り人は潮が高い時に無理して渡り、潮の流れと波の影響で少し沖に流され、釣りをする前に一生懸命泳ぐ羽目になっている。

 それゆえ、安全な潮位になるまでウキウキする気持ちを押さえ、尚且つ波のウネリを読み、安全と判断した時のみ渡るようにしよう。


 参考までに馬の背への基本ルーを説明しましょう。

      

 馬の瀬へ渡る潮位は、腰より下の時が安全です。
 お腹付近の潮位だと、身体が水面に浮きそうになり、同時に潮の流れで堤防の端方向へ少しずつ流されます。

 また、波のある日は特別注意が必要す。
 渡る際の水位が腰ぐらいでも、波のウネリが重なると水位が胸の高さに達することが良くあります。

 すると身体は完全に水面に浮いてしまい、つま先だけが堤防に付いているような感じになります。
 この時、波のウネリと潮の流れで身体が横に流され、堤防の外側にドボンとなります。

 私は一度も危険な目にはあっていません。
 それは師匠の教えがあったお陰と、何名もの方が流されている話を聞いているので、特別注意しながら渡っているからです。

 上図、@の場所から飛び込むのがベストの方法です。
 波と潮の流れを考え、「モシ、身体が浮いてしまったら?」を対処するには、できる限り端側から飛び込むのが安心です。

 時々、Aの場所から飛び込む方を見ます。
 ココから飛び込むと、最悪、波と潮の流れで身体が浮いてしまったら、あっと言う間に堤防の外側に出てしまいます。
 なので、「モシモ」を考えた場合の飛び込み位置は@の場所となります。

 ちなみに、赤丸印の場所は馬の瀬側の堤防が若干狭いのでご注意あれ。



 参考:波の周期
 堤防や磯に打ち寄せる波の周期には必ず強弱があります。
 
 ある一定の高さの波が打ち寄せているように見えても、じっくり見ると、平均値より高かったり、平均値より低かったりします。

 また、5〜15分に1回(実際には波×3回ぐらい」)大きな波が打ち寄せますので、釣りの最中はラインの変化に集中しながらも、波の変化のチェックもするように気を配りましょう。

 で、馬の背に渡る時には、波の状態をジックリ観察し、波の高さが平均値より小さい時に飛び込むようにしましょう。
 この慎重な行動が事故を防止するとともに、他人への迷惑を掛けることがなくなります。





 話を戻し、
 馬ノ瀬で危険な事は、堤防の上の所々に悪魔が用意した穴や亀裂があることだ。
 この穴に落ちると足や手をを負傷する危険性が高い。

 この私も注意をして歩いているのだが、何度となく穴に落ち負傷した。
 ここでは私のアホアホ体験談をご披露しよう。


     ← 点線の場所はケーソンの隙間


 通常、新提から馬ノ瀬へ向かう場合、1段目・2段目のケーソンを降り、馬ノ瀬本体の堤防に飛び降りる。
 この馬ノ瀬本体の堤防と2段目のケーソンの間には隙間があり、飛び込んだ位置が悪いとその穴に落ちる。
 (図@の場所)

 この私、二度その穴に落ちた。
 一度目は水深がお腹ぐらいある時に飛び込んだ際、両足共にこの穴に落ち、堤防の外へ流されそうになりビックリした経験がある。

 飛び込んだ瞬間、足場があるはずと思い込んでいた場所に足場がなく、ストーンと海中まで一直線!
 海中に沈んでいる堤防の上に両手が付き身体が止まったが、奈落の底へ落ちてゆく心境だった。

 その経験から、一歩目は大股を開きできるだけ遠くに降りるようにしている。


 二度目に落ちたのは、馬の背から新提へ戻る時だ。
 潮が引き水深が50cmぐらいの時(海水のニゴリ有り)、2段目のケーソンの手前まで近づいた瞬間、片足がこの穴にズボっと落ちた。

 「同じ穴に落ちるなんてアホとしか言いようがない!」と脳裏でつぶやく。
 アハハ・・・

 マヌケな事に、この時アゴを2段目のケーソンの角に打ち、アゴの下から出血!
 同時に左手の手の平をバッサリ切り、竿を持っていた右手の小指までもバッサリ切ってしまった。
 で、釣り仲間に「ドジッコだね〜」と大笑いされのだった。(^_^)

 但し、近年この隙間の幅は非常に狭くなっている。
 どうやら台風の影響でケーソンのつなぎ目が閉じたり開いたりするようだ。

 同様に、この場所の近くにあったケーソンの大きな溝も、近年足が落ちない程度に狭くなっている。
 (図Aの点線部分)

 なので、毎年ケーソンの隙間は変化すると考え、初釣りや台風後には、堤防の状態を確認するまで慎重に行動したほうが良い。




■悪魔の作った穴
 次は馬ノ瀬の『赤灯』方向へ伸びるい低い場所(カーブしている場所)についてだ。
 この低い場所には、片足がスッポリ入る大きさの穴が多数存在する。

 その昔、丸太でできたクイが刺さっていたらしいが、今では取れてしまい当時の面影はない。
 その他、堤防の中央部分に長方形の大きな穴があったり、悪魔が作った謎の穴もある。

 まずは私が大怪我をした穴についてだが、馬ノ瀬のカーブより少し手前、高い方から低い方へ降りた先の右側に長方形のデッパリがある。
 そのデッパリの少し先、堤防中央付近に片足がスッポリ入る悪魔の作った穴がある。

 この穴、昔は存在しなかったので何も警戒しない状態で歩いていたら突然右足がズボっと落ちた。

 穴は深く足の付け根までズッポリはまってしまった。
 落ちた拍子に尾てい骨(びていこつ)を打ち全身に激痛が走る。

 声にならない声を出し、「う〜〜」と痛みに耐えるしかなかった。
 約30秒後痛みに耐えながら足を抜くと、ゴアテクス製のカッパのズボンが少し破れ足のアチコチから出血していた。

 一番酷いキズは足のスネの部分で、表面の皮がそぎ取られ、その部分は100円ライターの平らな面を縦に2個並べたくらいの大きで出血が酷い。

 取り合えず竿を置き、キズの部分を海水で洗い流しキズの程度を確認した。
 すると細かい擦り傷・切り傷があちこちにあり、太ももも部分にまで切り傷があった。
 どうやら、落ちた瞬間カッパのズボンがめくれ上がり、足全体が貝類に接触したようだ。

 骨には異状はないようだが、落ちる際、スネの部分とヒザの部分を強打した様でズキンズキンととても痛い。

 仕方なく新提までビッコを引きながら戻る事にした。
 カッパのズボンを履いている事から、すれ違う釣り人は私が怪我をした事に気づかない。

 しかし、新提の上には私の血が点々と垂れているのだった。
 アハハ・・・

 タオルで止血していると何人もの釣り仲間が「痛そうだね〜」と笑顔でとひやかしにくる。
 いや〜、恥ずかしいったらありゃしない。

 面白い事に、陸上で生活している時に怪我をすると「大丈夫?」と心配そうに声を掛けられるが、魔界の魚を狙う釣り師にとって怪我は付き物。

 「アイツもやったか」程度で心配する釣り師などいない。
 アハハ・・・

 出血は短時間で納まったが、お昼の迎えの船で帰るか真剣に悩んだ。
 結果、せっかく野島に来たのだからと思い、帰らず釣りを続けた。
 これぞ魔界の魚の魅力である。

 翌日、会社に出勤(サラリーマン時代の話)する際、スーツのズボンで右足全体にできた傷がチクチク痛む。
 そのなかでも厄介だったのは太ももの切り傷で、痛みと同時にチョロリ出血する。
 なのでキズがが多少癒えるまで大変苦労した。

 また、キズの手当てで医者へは行かなかったが、お風呂には入るとカサブタが剥がれ出血する。
 傷が直りかけても、週末に野島堤防で海水に浸かりたくなるので、再び傷口が開き出血する。
        
 天使が「海水に入るな!」と教えてくれるのに、悪魔のササヤク「魔界の魚を釣りたくないのか?」の言葉に従ってしまう私だった。

 結果、表面のカサブタが取れるまで1ヶ月以上かかってしまった。
 アハハ・・・




■カーブ付近に点在する大きな穴
 低くなっているカーブ付近は、ケーソンの継ぎ目毎に外側角・中央・内側角に大きな穴が空いている。

 この穴の大きさはデカイので、ド干潮の時はスグに発見できるが、堤防の上に海水がかぶっている状態ではこの穴を見 落とし落ちる危険性がある。

 穴の大きさはティッシュペーパーの箱を3個、正方形になるよう合わせた状態の場所と、ティッシュペーパーの箱を縦に2個並べたような穴とがなある。

 特に黒鯛とヤリトリしている最中は、この穴に対する警戒心が薄れてしまうので落ちやすくなる。

 私はこの穴に落ちないよう、忍者の如く抜き足・差し足で、堤防の形状を把握しながら歩くように心がけて入る。

 しかし、それでも落ちる時には落ちるのである。


 実際、最も落ちやすい穴は外側(横浜側)角にある穴で、魚とのヤリトリで横歩きしている最中に落ちる。
 下手をすると前のめりで海中に落ちてしまうので注意しよう。

 イメージとしては歩いていたら突然堤防がなくなった感じとなり、「アッ」と声を出した瞬間に海面に顔を打ち付け、水没している堤防の角部分にお尻がぶつかり身体が止まる。
 何度体験してもいやな感じである。



 仲間の釣り師から、『ヤリトリの最中に海に落ちた』との話を何度か聞いた。
 そしてわかったことは、魔界の魚を好んで狙う釣り師は海に落ちても絶対に竿を離さない事であった。

 この事は私と同じ。
 やはり洗脳されている釣り師は根性が違う。(~o~)


 但し潮位により危険な事例があるので、この文章を読まれた方は心しておこう。

 危険な事例とは、ある特殊な条件の時に海に落ちると『堤防に登れなくなる』問題だ。
 過去、4回ほど苦労した話を聞き、1度人命救助した事がある。


 その事例とは、馬の背のカーブ付近、外側(横浜方向)に落水した際、自力で這い上げれない問題だ。

 この問題は北東側方向(横浜方向)から打ち寄せる波のウネリが影響しており、落水した方の話では、堤防に打ち寄せる『追い波と引き波』が邪魔をし、必死に泳いでも堤防に手を掛ける事ができないらしい。

 そして、追い波を利用し上手く堤防に手が掛けられたとしても、それは一瞬で、スグさま発生する引き波に身体を引っ張られるので堤防にしがみつく事ができないらしい。

 また、カーブ付近は堤防全体で一番低い場所の為、堤防の南面となる内側から引き波が常に『川のような流れ』で打ち寄せる。

 この関係から、落ちる場所が悪いと、必死に泳いでも堤防に近づくことすらできなくなるのだ。
 現に私が救助した釣り師はこのパターンだった。


 この問題が発生する潮位は、ビザ下ぐらいの水位から腰の下くらいの水位の時となる。

 不思議と腰から胸付近の水位の時は、堤防の上で追い波と引き波がぶつかり合うので危険な状況は発生しない。

 [はい〜? なんですか? 胸まで海水に浸かりながら釣りをするのか?]
 [ハイ、潮位のある時には水没している足元の堤防の上や沖目で釣れるもので・・・]
 [あなた馬鹿ですね!]
 [返す言葉もありません]


 また聞いた話では、常時打ち寄せる波の高さは30cmぐらいでも落ちる場所がまずいと這い上がれないらしいので注意しよう。
 ゆえに、この問題は少々波が高い時に、釣り人が竿を出しやすい条件で発生すると言うことだ。


 では、落ちた時どうすれば堤防に戻れるか?
 近くに釣り人が居なければ、落ちた場所に戻る事は諦め、赤灯方向へ泳ぎ、馬瀬と赤灯とが繋がっている付近から登る事を考えよう。

 実際この方法で、「上手く這い上がれた」との話を聞いたが、「無理だった}との話も聞いている。


 2名の釣り師から聞いた話しでは、
 赤灯の馬ノ瀬向きにあるスロープ部分の張り出し付近(海面に顔を出す高さで上り下りに便利な場所)から這い上がる事を考えたが、堤防にぶつかった際に発生する引き波の影響で上手く這いあがれなかった」との事。

 そして、少し手前の『馬の背の角付近』には波に影響で近づくことができず、この場所も諦めるしかなかったらしい。


 こうなってしまったら手段は一つ。
 2名の釣り師が試した方法を実行するしかない。

 話では、この2名の釣り人は隣にある赤灯の周りを泳ぎ、
 一人は横須賀向きのスロープ部分から這い上がり、
 もう一人は、赤灯を北面から南面方向へぐるりと泳ぎ、南面にあるコンクリートの階段から上がったらしい。


 この時、「竿は手放さなかった!」と病気の黒鯛師らしい話を聞いた記憶は残っているが、「タモはどうしたのか?」の記憶はない。
 多分、悪魔に洗脳されている黒鯛師は手放すはずがないと思うのだが・・・。

 皆さん、馬ノ瀬には悪魔が用意したトラップが一杯仕掛けられていますのでご注意あれ。







■悪魔が用意した危険ルートがある『赤灯』

 赤灯は、一見、危険な釣り場がないように思えるが、実は干潮時を狙い馬ノ瀬方向へ降りるルートが2通りある。

 このルートを使い馬ノ瀬に向かう釣り師は悪魔に洗脳されている方だけだが、いつ貴方にその災難が降りかかるかわからない。

 時に黒鯛師の心は不安定。
 ある条件が揃うと魔界の入り口に飛び降りたくなる。
 そして貴方も魔界の魚の虜となる。
 皆さんチョット考えてください。

 もし、目の前に広がる馬ノ瀬でポツポツと黒鯛が釣れているが、自分が居る赤灯では無反応。
 貴方は耐えられますか?

 そして、何人もの方が黒鯛をキャッチしご機嫌状態。
 ついでに、あちらこちらで魚とヤリトリする姿&ハリ外れによるオートリリースするシーンを何度も見たら、飛び込みたくなりませんか?

 こんな時は皆さんにも悪魔の声が聞こえるはずです!

 「早くおいで〜、魔界の魚を釣るチャンスだよ〜、早く行かないと地合いは終わっちゃうよ〜 おいでおいで〜 クロちゃんがお腹をすかせて待っているよ〜」と・・・。
 逆に、全く釣れない時にも悪魔の声が聞こえてくる。
 「馬ノ瀬は狙う場所が一杯あるよ〜、一発勝負をしてみないかい〜、クロちゃんを釣りたくないのかい〜 釣り人は少ないからクロちゃんに出会えるチャンスは高いよ〜」と・・・。

 この悪魔の声を聞き自分の心を押さえられる方は良いが、私は何度も魔界の快楽を体験しているので我慢ができなくなる。
 果たして貴方は悪魔の誘いに耐える事ができるだろうか?

 尚、降りる場所は大変危険なので文章の記載は控えます。
 野島に通えばおのずと理解すると思いますがね!




■最後に(野島堤防偏の文章を振り返って)

 危険の場所での釣りについて、文章では『命がけ』なんて表現で記載していますが、この表現は文章を面白くする為に用いた用語です。

 安全な状態で釣りをすれば問題のない範囲ですのでお間違いなく。

 どんな事でも一緒ですが、その限度を過ぎると危険な目にあいますので、危険な場所での釣りは野島堤防に通う常連の釣り師と交流を持ち、常に一緒に行動し、安全に釣りができる条件を覚えてから一人で行動するようにしましょう。

 また、危険な釣りをしたことのない方にとっては『泳ぐ』との表現に驚かれると思いますが、実際には最も安全に場所から 泳ぎ、危険な状況になる前に帰ってくる釣りをすれば大丈夫です。

 そして、海中に浸かって釣りをする場合も同じで、はたから見ると危険に感じますが、実際に自分で竿を出すと危険ではないことが理解できます。

 繰り返し申し上げますが、慣れるまでは地元の常連さんと共に行動しましょう。
 もちろん、渡船屋は「危険な釣りは止めましょう!」と釣り人に呼びかけていますので、その行動は自己責任で判断してください。

 歌手.植木等さんが歌う昔の歌謡曲で「スーダラ節」という曲があります。
 この歌詞に中に「わかちゃいるけど止められない。それ! スススダラ・・・」とのフレーズがあり、皆さんもTVの特番で一度は聞いた事があると思います。

 悪魔に洗脳されている私は、まさにこの歌のように、『わかっちゃいるけど泳いじゃう。それ!』なのです。
 ホッホッホッ・・・


END