【魔界の魚 黒鯛  野島堤防偏.PertV】

 題名:悪魔に身体をつかまれる『青灯・四畳半』  


 青灯・新提よりの一番端部分が『四畳半』と呼ばれており、満潮時には完全に水没する危険な場所だ。
 この場所は魔界の魚が付きやすいことから、危険をおかし黒鯛を狙う釣り師は多い。

 ちなみに、狙い目は『ヘチ・チョイ沖・沖目・大遠投』とあらゆるポイントを狙えるので大変面白い場所だ。

 但し魔界の魚が釣れる場所ゆえ、過去、何人もの釣り師が波で流され海中に落水している。
 私が知る限り、野島堤防で最も落水した方が多い場所だ。
 それゆえ竿を出す場合は、決して悪魔の声に耳を貸してはいけない。

 落水された方々は、運が良いことに無事で這い上がり軽い擦り傷程度の怪我ですんでいるが、もしもを考えると簡単に竿が出せる場所ではない。
 悪魔のササヤキを打ち消すことができない時には、潮位と波の高さを考慮し、慎重に行動する必要がある。

 なぜ落水者が多いか? 
 その理由は、堤防が低く波しぶきがかかる頻度が多い為、堤防の表面にノリのようなコケが生えている。
 それゆえ、波が来た時に踏ん張りが全く利かないのだ。

 堤防の表面にフジツボなどの貝類の付着があれば良いのだが、なぜかしら極端に少ない為、氷の上を歩いているかのようにツルツルと滑る。

 そして皆、「ア〜〜」と声を出しながら落水するのだ。
                                        
 四畳半は干潮時に水面から顔を出すので、足場は滑るが釣りがしやすく波をかぶる頻度も少ない。

 しかし、潮位が高いと足元を波が洗うので落水する危険性が高くなる。
 但し、風の影響でガボンガボンの時には潮位に関係なく大変危険なので、決して近づいてはいけない。


 この四畳半は、干潮時より足元を波で洗う条件で釣れる確立が高くなる関係から、釣り人は危険を犯しこの場所で竿を出す。
 特別ヒットしやすい潮位は、周囲の水深が浅いことから、堤防の上に海水がかぶり出す頃から満潮にかけてが良い。

 とは言え、堤防の上を時々洗う波の高さが、ヒザの高さを超えたら流される危険度が非常に高くなるので、悪魔の「もう少し粘れば釣れるよ〜」とのササヤキに耳を貸さず、早々に退散する事を忠告しておく。


   


 上図、横浜方面は水深が深く、干潮時の水深は3m前後。
 逆側の横須賀よりは水深が浅く、干潮時の水深は1.5m前後。

 新提方向へは、水中に昔の堤防の跡があり、干潮時の水深は四畳半よりが60cm前後、徐々に深くなるような傾斜状になっており、四畳半から4m先では水深が1.5mぐらいになる。

 四畳半は堤防の端に位置する為、潮の通りが非常に良い。
 また、周囲には大きな沈み根がアチコチに点在し、根ガカリも多いが魚の付きが良い。

 トータルすると、堤防周辺の水深が浅いので魔界の魚が釣れだすのは潮位が上がってきてから。
 そして、良い感じで潮が動きだすと魔界の魚がゴハンを求めて四畳半周辺に集まりだすのだ。

 よって釣り師は危険極まりない行為を犯してまで竿を出したがる。
 自分のすぐ横で、魔界の扉が開きかけているのにも気づかずに……。 
                 
 ちなみに、危険水位は足元から30cmぐらいの高さとなり、40cmを超えると打ち寄せる波の力で身体が横滑りする。
 更に、腰ぐらいの高さの波をぐらった場合はホボ100%海中にドボンとなり、魔界の住人が手招きする姿を見る事ができるらしい〜。

 野島堤防に通う病気の釣り師の方は、この場所で横滑りを体験しているだろうが、波が来た瞬間、まるで氷の上を滑っているかのように身体がスーっと30cm〜1m横滑りする。
 この瞬間、まるで悪魔に身体を引っ張られているかのような気分となるのだ。


 尚、この危険極まりない場所での釣りに慣れるまでは、干潮の時以外、絶対に竿を出さないほうが良い。
 どうしても竿を出したいのであれば、四畳半には1本太い木のクイがあり、仕掛け投入後は流されないようにクイにしがみつきながら釣りをする事をお勧めする。

 私は釣り仲間の落水した話を何度となく聞いていたので、この場所で落水した事はない。表現を変えれば、潮位が高い時に落水したくないので、仕掛け投入後はラインを見ている時間より波の状態を見ている時間のほうが多い。

 そう、エサの着底を野生の勘で行い続けるのだ。
 そして、危なそうな波が来た時は、木のクイにしがみつき難を逃れる。

 皆さん、決して悪魔にその身をつかまれぬよう注意しよう。


 追記:四畳半には特別ヒット率の高い狙い場所(ピンポイント)が5箇所あり、それとは別に潮の流れを利用した秘伝の釣り方(探り方)などもある。
 このポイントや釣り方を文章内に記載してしまうと、魔界に引き込まれる釣り師が出てくると困るので止めておく。









 題名:悪魔に背中を押される『新提・青灯側の張り出し』

 新提の青灯方向にある張り出しは、ド干潮以外、常に海水に浸かっている場所である。
 この張り出し周辺は魔界の魚のお気に入りのようで、潮位に関係なく美味しいゴハンを探しにやってくる。

 通常は堤防の上から張り出し周辺を狙うのだが、悪魔に洗脳された釣り人は、この低い張り出し部分に飛び込み魔界の魚を狙うのである。

 今までの経験から、堤防の上から狙うには遠投の技術が必要であり根ガカリが多い為、狙い通りのポイントをキッチリ探りにくい。
 また、風が弱いと釣りやすいのだが、風速が4mを超えると、ラインが風で引っ張られる関係から更に釣りづらくなる。


 しかし、この張り出し部分に降りて狙うと、潮の流れを読んだ本格的な落し込み釣りが可能な為、釣れる確立が断然高くなるのである。

 それゆえ、魔界の住人がササヤク、「おいで、おいで、クロちゃんが口を空けて待っているよ!」との甘い言葉につられ、つい飛び込んでしまうのだ。
   
 この張り出しの水深はド干潮の時で20cmぐらいなので、満潮の時は飛び込むことができない。

 過去に2,3度、この張り出し部分のガラス貝の層が地上の大気に10分程度触れた姿を見たことがあるので、潮位0cmかマイナス潮位の時に顔を出すのだと思う。

 また、水位が腰ぐらいの時に飛び込むと、波が足元でバチャバチャしているので、頭から海水をかぶるような感じでの釣りとなる。

 近年、狸のように膨らんだお腹が邪魔をして、下に降りたは良いが自力で登ることができなくなってしまい、現在では降りることはないが、昔はこの場所が大好きだった。

 但し、この場所は新提で最も人気のある場所なので釣り人が多い。
 この為、釣り人がいる時には釣りのマナーを優先し飛び込む行為は控えるべきだが、釣り人がいない時のみチャレンジする幸運が与えられる。

 と同時に、魔界の住人が手招きしている姿を見ることができる。
 昔この張り出し部分に降りて釣りをした際、死ぬかと思った経験がある。
 その話を皆さんにご紹介しよう。

 この日は平日でお客さんは少なく、偶然にも釣り場で、その昔野島の名人と言われた釣り仲間のYOSIさんに会った。
 そして、干潮前後二人は新提で竿を出していた。

 この日はなぜかしら、悪魔が「張り出しに降りろ・降りろ!」とササヤク声が脳裏を巡る。
 自分はそのササヤキを無視し続けた。

 神様に与えられたこの命。
 幸運な事に病気などせず、普通の生活を送ることができる身体。

 この幸せを自から危険な状況に追い込み、最悪、命を落すのにはもったいない。
 神に与えられしこの命、天寿を全(まっと)うするまで生きながらえなければならない。(アニメの見すぎ?(^_^)

 「危ない釣りはよそう!」と心に決めていた私は悪魔の言葉を無視し続けたが、追い討ちを掛けるかのようにYOSIさんがササヤク。

 「タムラさ〜ん、下に降りて釣ってきなよ!」と・・・。
 「エッ〜〜、我慢してたのに!」と言いながも心はウキウキ。(実は単純な性格)


 この日は平日でお客さんが少なかったことから、新提の張り出し付近で竿を出しているのは私とYOSIさんだけだった。
 で、迷うことなく下に降りる準備をはじめてしまった。
 アハハ・・・

 実はこの時、YOSIさんの正体が、『魔界の住人』であることに気づかない私であった。

 YOSIさんの「下に降りて釣ってきなよ!」の言葉に洗脳されたようで、自分の身体を引き止めることができない。
 それゆえ、危険極まりない水没している張り出し部分に飛び込むこととなる。

 そう、悪魔が魔界の扉を少し開けて、コチラを覗いていることにも気づかずに・・・。

        


 この日は干潮時にそれほど潮位が下がらなかったので中潮か若潮周りだと思う。
 飛び込む前におおよその水深をチェックすると、70〜80cmと判断。
 風は朝から北がらみの風が吹いており波は少々高いが、飛び込んでも大丈夫と判断した。

 この文章を読まれている方は思うはず、「なぜ、そんな危険な状況なのに、飛び込んでも大丈夫だと判断できたのか?」と・・・。

 それは、この日の条件よりも波が高い時に飛び込んで釣りをしたことがあるからです。
 表現を変えれば、慣れってやつですね! (~o~)b
 で、悪魔の化身であるYOSIさんの甘い言葉にだまされて飛び込んだ!  
 「アラヨット!」ボチャン!

 飛び込んでみると予想通り水深は70〜80cm、腰より少し下辺りが水面となる。
 打ち寄せる波の高さは腰〜お腹ぐらいの高さまで達するが注意してれば大丈夫だと判断した。

 水深が70〜80cm時に張り出しに降りて釣りをする際、最も注意しなければならないのは波のウネリである。
 この日も時々訪れる少々高い波に身体を揺されるが、足元にカラスガイの層がビッシリ引き詰められている関係からある程度の踏ん張りは利く。


   


 しかし、波のウネリを身体の正面や後ろからで受けると倒れてしまう状況なので、竿を出している最中は常に波のウネリ に対し身体を横向きで対応し、波の力を最小限の角度で受け流さなければならない。

 とは言え、足元は波の影響でバチャンバチャン、身体を左右に揺らされ、足をハの字に開きバランスを崩さないように耐える。
 そして、頭から海水をかぶりながらの釣りが続く。


 他人が見たら、『危ない場所で竿を出しているな〜」と思うかも知れないが、釣りをしている本人は慣れているので全く平気。
 ウキウキしながら竿を出しているのである。

 そう、魔界の快楽を一度味わってしまうと、悪魔のササヤキを否定することができなくなり、その身と理性を悪魔に支配され、『危険な行動は避けるべき』との考え自体をなかったことにしてしまうのだ。
  
 釣りはじめて数分後、予想通り魔界の魚がヒットする。
 ヤリトリの最中も、波のウネリを受け流すポーズのまま続ける。
 そして40〜45cmの黒鯛が、波でもみくちゃになっている水面に浮いてきた!

 タモを準備し、魚をすくおうとした瞬間、つい背中を波の来る方向に向けてしまった。
 その瞬間、悪魔に背中を押され、「あれ〜」と声にならない声を出し頭から海中にドボン!
 目の前は真っ白な泡。 
 身体は波の力で海中に引きずり込まれ、5〜6秒後水面から顔が出せた。

 海面に顔を出すと堤防(張り出し部分)から2m程離れた場所に浮いている。
 立ち泳ぎをしながら冷静に状況を把握する。

 そう、慣れと言うものは恐ろしいもので、『海に落ちて当然だ』との心構えで釣りをしていると、不思議と冷静でいられるのです。
 「とゆーうか、悪魔の洗脳?」  ク〜ククク・・・


   


 しかし、この危険極まりない状況でも竿とタモは離さない。
 これぞ魔界の快楽を味わった男の釣りだ。(偉そうにいえる言葉ではないが…(~o~)

 ところが笑っていられたのはここまで。
 水面に顔を出すための立ち泳ぎが簡単ではない。

 そう、竿には黒鯛がヒットしたままであり、タモは海中に落ちた瞬間に柄の部分が伸びてしまい片手では縮めることができない。(3mのタモ/3段の振り出しタイプ)

 それゆえ、立ち泳ぎがしにくく堤防に向かって上手く泳ぐ事ができない。
 おまけに波が身体を押し、徐々に堤防から遠ざかってゆく。

 「ヤバイ! このままでは沖に流される!」
 この瞬間、急いでタモをどうにかしなければならなかった。

 まずは、立ち泳ぎのポーズで足だけを動かし、左右の手を使ってタモを短くできないか挑戦!
 この瞬間、海中に顔が沈む。「ブクブクブク・・・」
 結果、失敗!

 もう一度、挑戦!
 海中に顔が沈む事を考え、大きく息を吸ってからチャレンジ。「ブクブクブク・・・」
 やはり失敗!

 どうやらタモが海中にあることと、波の影響で強めに引っ張られたようでビクトモしなかった。
 タモを縮めることを諦めた。


 そうこうしている間に堤防(張り出し部分)から除々に離れる。
 この段階で3.5mほど沖に流された。

 とは言え、落ちた場所が潮裏なので潮に流され沖に運ばれることは無い。
 この事が自分自身を冷静に保ち、海に落ちたとゆうのに余裕で対処している。

 ところが、右手に竿・左手にタモを持った状態での立ち泳ぎは、足を素早く動かさねば水面に顔が出せないので体力を急激に消費する。

 こんな時は立ち泳ぎではなく、『背泳ぎ』のスタイルの方が呼吸が楽になることを海水浴の際に経験していたので試してみるが、身体に着ている洋服やベスト・カッパのズボンが水の抵抗を受けているようで、胸の部分が上手く水面に浮いてくれない。

 結果、よけい呼吸がしずらかった。
 仕方なく、立ち泳ぎに戻す。

 この時、心臓が「バコンバコン!」と激しく鼓動していることに気づく。
 「早く良い方法を考えないと!」と、少し焦る。
 でも気持ち的にはまだ余裕のヨッチャン。
      
 まずは竿を持つ右手でタモを持とうとしたが、リールをフリー状態にしなければ持てないことに気づく。

 この時、竿には魚が付いたままであり、ラインを親指で少しずつ出しながらのヤリトリが続いていた。
 「ウブブ・・・どうする? 魚をばらしたくない」と判断。
 「じゃ〜タモを首からぶら下げれば!」と悪魔がササヤク。(タモは肩ひもタイプ)
 「ウン、そうしよう♪」

 よくよく考えてみれば簡単なことだった。
 「いままで何を苦労していたのだろう?」と頭の中でつぶやきながら泳ぎだした。

 この時、堤防(張り出し部分)から4mぐらいの距離を漂っていた。
 ヤハリ、潮裏の関係から殆ど流されていない。
 予定通りの展開にホットする。

 「よいしょ」とタモの肩ひもを首に回す。
 左手の自由が利くようになり一安心。
 リールからラインを少しずつ出しつつ平泳ぎで堤防を目指す。

 この時、泳ぎながらもリールのライン操作は決して怠らなかった。
 常にブレーキをかけながら最小限のラインを出し泳いでいたのだから、この行動から、この事態に動じない冷静さと言うか、なんと言うか、釣りバカらしい行動であることがわかると思う。(~o~)


 ところが洋服とベストを着て、下半身にカッパのズボンをはいている状態では中々前に進まない。

 と同時に問題発生!
 首にタモの肩ひもがきつく当たり、まるで悪魔に首を絞められているようで非常に息苦しい。
                                            
   


 その瞬間に気づいた。
 どうやら、泳いでいる最中、タモは網の部分が重いようで水中へと引っ張られる。
 
 ついでに、タモの重さと水の抵抗が自分の首を締め付ける結果となってしまったのだ。
 「ヒエ〜〜」

 「ハッハッ、ウブブ・・・ク・ル・シ・ー ハッハッハァ・・・」
 て感じで、必死に手足を動かすが、一向に前へ進まないと同時に呼吸ができなくなった。
 「てうゆうか〜万事休す」
 「もうだめ!」と泳ぎを止め、立ち泳ぎに切り替える。

 作戦失敗。
 ヤハリ、悪魔の言葉は信用できない。(~o~)b

 再びタモを左手に持ち立ち泳ぎ。
 必死で泳いだ割には堤防(張り出し部分)に近づいておらず、相変わらず4mぐらい離れた場所に浮いていた。
         
 その時、堤防の上から見ていたYOSIさんが、笑顔で「大丈夫?」との声が聞こえる。
 こちらも笑顔で「ダイジョウV」と返答。


 まあ別堤防の話で記載した、『中廊下』からの帰りに死に物狂いでマルカンの上を泳ぐ事を考えれば、多少沖に流されようとも立ち泳ぎでその場に待機できることは体力的に非常に楽なのである。

 とは言え、タモを捨てたくないので事態は一向に好転しない。
 ついでに魚をサヨナラしたくないので、リールをフリーにしたくない気持ちの方が強い。
 「う〜どうする?」

 先ほどの懸命な泳ぎのせいで急に呼吸が激しくなってきた。
 心臓は「バコンバコン」のやや早い鼓動を更に早め、「バコバコバコ」と身体全体で心臓の鼓動を感じるくらい激しくなってきた。

 「ムムム・・・ヤバイナ〜」

 頭の中では、
 天使:「リールをフリーにしてタモを右手で持ち、堤防へ向かって泳ぎなさい!」
 悪魔:「いや〜、大事な魔界の魚、リリースするべきではない!」

 天使:「このままじゃ〜死んじゃうよ! タモ捨てたら」
 悪魔:「いや〜、大事なタモ網、捨てるのはモッタイナイ!」と、天使と悪魔が格闘する。
  
 しかし、このまま考えている間に体力がなくなり危険な状態になるかも知れないと焦りだした。

 仕方がないので天使の言葉を信じ、リールをフリーにした状態で竿とタモを右手に握る事にする。

 既に3mのタモ(3段の振り出しタイプ)は一直線に伸びきっており、再度、なんとか縮める事ができないかと5〜7秒ほど頑張ったが、ガッチリ伸びきっている様で全く動かない。

 「やはりダメか!」と頭の中で呟く。
 仕方が無いことと、呼吸が激しくなっているので縮める事は諦めた。
 取りあえず、伸びきったタモと竿を右手で握り泳ぎだした。


 ところが、タモが伸びている状態では非常に泳ぎにくい事にスグ気づく。

 「ヤバイ、上手く泳げないどころか、これまたチットモ前に進まない」と、脳裏でボヤク。
 呼吸が更に激しくなる。

 「ハッハッ、まずい、どうしよう? ハッハッハァ・・・」と必死な形相、ついでに心臓はバコンバコンで破裂の一歩手前まで来てしまったように感じた。


 「こりゃ、マジでヤバイ! 心臓が破裂するかも?」と、再び不安が脳裏を巡る。
 ほんとうにヤバそうだったので、泳ぐのを諦め立ち泳ぎに切り替える。

 必死で泳ぎ、堤防(張り出し部分)へ1mほど近づいたが、依然として3mほど離れた場所にいる。

 すると「タモを捨てたら?」と声が聞こえる。
 これは『そら耳』ではない。
 間違いなく人の声が聞こえた。
 天使の声? それとも悪魔の声? それとも悪魔の化身YOSIさんの声?(実際はYOSIさんの声)
 「ウブブ… 迷う〜〜 苦しい〜〜」
 再び頭の中では、天使が「命とタモ、どちらが大事なの?」とササヤク。
 自分はその答えに悩みながら必死で立ち泳ぎを続ける。

 そして出した答えは、「タモは絶対に捨てない」だった!
 アハハ・・・

  その時、エヴァのアスカの声が聞こえた!
  本人の声が聞きたい方は  再生ボタンをクリックしてください。



 この時、堤防(張り出し部分)との距離は再び4mぐらいの距離に離れていた。

 取りあえず、「タモは捨てない」と決めたからには、右手で竿(リールはフリー状態)とタモを持ったまま必死で泳ぐしかない。

 で、泳ぎだした。
 気合を入れ直し泳ぐと、堤防(張り出し部分)へ徐々に近づく。
 「よしこのまま、なにがなんでも頑張る!」と決意し手足を動かす。

 しかし、無常にも堤防(張り出し部分)に近づいた瞬間、波のウネリで再び沖に遠ざけられる。

 「こりゃ〜ヤバイ!」

 必死の形相で泳いでいる割に頭の中は常に冷静。
 仕方なく最短ルートで堤防(張り出し部分)へ泳ぐことを諦め、波のウネリの影響を全く受けない堤防の裏側を目指す。


 心臓は破裂寸前、呼吸困難で死にそう。
 「頑張れ・頑張れ、俺の身体!」

 絶対タモと竿は離さず泳ぎきるとの『強い信念?』で頑張った。

 「とゆーうか、貧乏症?」  


 そして、堤防から2.5mほどの距離まで近づき立ち泳ぎに変更。
 左手でタモの元部分を持ち直し、堤防の上で笑っているYOSIさんに差し出した。

 で、YOSIさんは上手くタモをつかむ事ができ、私の身体はタモに引きずられながら堤防の張り出し部分に足を掛けることができた。

 ヤッター、無事生還!
 この瞬間、天使の微笑が見えると思いきや、脳裏をかすめた面影は、「チェッ!」と舌打ちする悪魔の顔だった。
 「ね!、タモを捨てなくて良かったでしょ!」と、自分の判断の確かさを誇りに思った。
 アハハ・・・ ホントはタモを早く捨てれば何も問題がなかったのにね!


 この段階で命の格闘は終わったが、魔界の魚との格闘は残っていた。
 運が良い事にこの魚はハリが付いたまま泳ぎ続けており、かなりラインを出されたが根に潜る事はなかった。
 おりこうさんの黒鯛である。

 そしてラインを巻き巻きし無事に魔界の魚をキャッチできた。
 (タモ入れは堤防の上からYOSIさんにすくってもらう)
 これまたバンザ〜イ!\(^o^)/


 さすがに疲れたが、魚の処理をYOSIさんに任せ、自分は張り出しの上に立ったまま、せっせとハリスの交換をしていた。
 もちろん、このままもう1匹釣るためである。
 アハハ・・・。

 で、準備が整い数分後1匹ヒット!
 タモ入れは堤防の上からYOSIさんにすくってもらう。
 これだから魔界の快楽は止められないのである。

 その魚をキャッチ後アタリがなくなり堤防の上に戻った。

 この日の教訓=「危険な場所では悪魔とYOSIさんのササヤキに注意しましょう♪ チャンチャン」
 私のような、魔界の虜になっちゃいますので・・・。

 「軍曹さん〜、このタムラって人、絶対に頭がオカシイですぅ〜」
 「ゲロゲロ! 確かに、まともな人間ではないようでありますな〜」
 「良い子の皆さんは、絶対に真似をしないようにするであります!」



END





■画像借用 下記サイト様 ペコリ
    

   





 【魔界の魚 黒鯛  野島堤防偏.PertW】へ続く